静岡民医連
全日本民医連 いつでも元気 2004.3 No.149
 

 ことし三月一日は、第五福竜丸のビキニ水爆被災から五〇周年にあたります。第五福竜丸が帰港した焼津港のある静岡県。昨年、静岡民医連の研修医や医学生らが、ビキニ環礁での被ばく者の被害や健康状態の調査をするためにマーシャル諸島に行きました。
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2001年1月、マーシャル諸島で被爆者の健診をする聞間医師

被爆者の問題に直面して

 医学生たちにマーシャルでの研修をすすめた聞間元医師は静岡民医連の会長で、全日本民医連被爆問題委員会の委員長。
 「学生時代から平和問題には関心がありましたが、被爆者についてはくわしくは知らなかった」と話す聞間医師が、被爆者医療に深くとりくむきっかけになったのは、一九七八年に静岡民医連の診療所に着任して関わった被爆者健診といいます。
 「被爆者の健診は原爆医療法によって実施されていますが、指定された日に保健所や公立の病院に行っても、医師から?来てもらってもよくわからない?とか?原爆はもう関係ない?などといわれる。被爆者は?ちゃんと診てもらえない?という不信から、民医連の病院や診療所にくるわけです。被爆者の思いを聞くうちに、被爆者医療について、もっと知りたいと思うようになりました」
 聞間医師は、当時民医連で被爆者医療に熱心にとりくんでいた肥田舜太郎医師、田阪正利医師ら先輩医師たちの論文や、七七年に開かれたNGO被爆問題国際シンポジウムでの資料を読み、多くの発見をします。このシンポにむけては、全国で被爆者実態調査が行なわれ、創立まもない静岡民医連もとりくんでいました。
 「被爆が、がんをはじめさまざまな病気に影響している可能性はあり、きちんとした調査・分析が必要です。当時、肥田先生はご自身の診療所での被爆者の検診結果から、厚生省が指示した定期検診のあり方や、その内容の問題点を指摘しています。
 そうした科学的な目と、被爆者の苦しみに寄りそうヒューマニズムが求められていると痛感しました。被爆時の悲惨な記憶のうえに、生活の不安、子や孫への影響の心配…そういう思いを正面から受けとめて、被爆者援護法をもとめていっしょにたたかっていかなければ、と思いました。
 被爆者の方の民医連への期待も強く感じていました。当時の三島共立診療所や浜松佐藤町診察所の設立にも被爆者のかたがたがずいぶん応援してくれたのです」

若い医師も海外に行ってほしい

 九三年、日本被爆者団体協議会(被団協)の要請でセミパラチンスク核実験場周辺地域への訪問調査団に参加。また九七年、〇一年と、日本原水協の要請でビキニ核実験の被害調査のためマーシャル諸島を訪問(『いつでも元気』01年12月号掲載)しました。
 「国際活動に参加したことは、私の被爆者医療への関わりへのその後に、大きく影響しました」と聞間医師。
 「国内でも海外でも、被爆の被害の実態をきちんと受けとめ、語れるのは民医連の医師だけといっていい。そういう意味からも民医連の国際活動が必要だと思います。若い医師にも海外に行ってほしい。だからマーシャルの研修に、医学生だけでなく研修医がふたりも同行したことは、うれしかったですねえ」と相好をくずします。

核兵器廃絶が被爆者のねがい

 聞間医師はじめ、全日本民医連は、被爆者健診の充実を求めて昨年一二月に厚生労働省と交渉しました。被団協の人たちや小池晃参議院議員も同席しました。 健診制度が創設された五七年以来、検査項目がほとんど変わっていません。
 「老人保健法よりも水準が低いのです。こちらの医学的な追求に厚労省はきちんとした答弁ができない。現在各地で行なわれている原爆症認定訴訟にも関係してくるので、かなり慎重でした。これからも継続して交渉していかなければ。
 被爆二世健診のとりくみ、原発・核燃サイクル施設の労働者や周辺住民のいのちと健康を守るとりくみなど、これからの課題はたくさんありますが、被爆者の一番のねがいは?核兵器廃絶?。ビキニ被災五〇周年を機に、もっとその声を海外にも発信したい。そこに若い医師に参加してほしいですね」と聞間医師。
文・斉藤千穂記者/写真・尾辻弥寿雄


マーシャルに研修に行って…
阪下紀子さん

 「海外の医療や平和問題に関心があって、学内の医学医療研究会というサークルで活動しています。マーシャルに行かれた、生協きたはま診療所の聞間医師を招いてお話しを聞き、大変興味を持ちました」という阪下紀子さん(浜松医科大学五年生)。民医連の奨学生です。
 「静岡県に住んでいながら、ビキニでの実験や第五福竜丸の被爆のことはおぼろげな知識しかなく、学習会を開いたり、3・1ビキニデーの集会に参加してから現地にいきました。直接患者さんの口から被害を聞くと、そのつらさが強く伝わってきました」と話します。マーシャルでの研修の報告集も作成しました。
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