2008年度からスタートした管理栄養士さんの記事です。
 西部健康友の会発行の機関誌「ヘルシーライフ」で連載中!

「桃の節句」 〜2013年3月(へるしーらいふ248号より)〜

 こんにちは。スーパーマーケットの催事で季節の移り変わりを知る今日この頃です。年末年始の飾りの後、「七草がゆ」「節分・豆まき・恵方巻き」「バレンタインデー」と続き、「ひな祭り」の華やかな商品の陳列で春の訪れを感じます。

 以前、「日本の五節句」について紹介しましたが、「三月三日、桃の節句」も五節句も一つとされ、「身の汚れを祓う大切な季節の節目」の行事です。もともと中国では、三月上旬の巳の日(三月三日)に川で身を清める風習がありました。これが日本に伝わり、子どもの健やかな成長を願って人形(ひとがた)を川へ流す儀式に変化しました。そして、「人形(ひとがた)を流す」ことが女の子の「人形遊び」と結びつき、女の子の成長を願うお祭り「ひな祭り」となったのです。

 「ひな祭り」と言えば、「ちらし寿司」「はまぐりの吸い物」「ひなあられ」が有名な行事食です。起源については諸説様々です。「ちらし寿司」は、平安時代に中国から伝わった「なれ寿司」を、祝いの膳として宴で食べたことが、「三月の節句でちらし寿司を食べる」という風習の起源のようです。「なれ寿司」とは、現在の寿司の原型で、海老や鯉、鮒などの魚や、菜の花などの山菜を入れた料理です。海老は「寿司の象徴」で、菜の花は「季節の祝い」、蓮根(れんこん)は「先を見通す」など、縁起の良い食材を多く取り入れることができ、行事食としてぴったりだったのでしょう。また、「はまぐりの吸い物」は、はまぐりが「女性の貞節」を表し、二枚の貝がぴったり合わさることから「良き相手と巡り合う」幸せな結婚を願っています。

 行事食には、食材一つひとつにも人々の大切な願いが込められているのですね。「ひなあられ」について知りたい方は、私に声をお掛けください。

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 「端午の節句」 〜2012年5月(237号)〜
 こんにちは。今年のゴールデンウイークは、どのようにお過ごしですか。「浜松祭りで三日間大忙し」とか、「旅行に行こう」とか、長い休みのある方はいつものお休みではできないことを満喫できるとよいですね。

 さて、ゴールデンウイークまっただ中の五月五日は「端午の節句」です。昔の日本には、身の汚れをはらう大切な季節の節目として、「節句」という行事がありました。「一月七日、七草がゆ」「三月三日、桃の節句」「五月五日、端午の節句」「七月七日、七夕祭り」「九月九日、菊の節句」の五つが、その節句とされています。端午の節句には、厄除けとして軒に「菖蒲」をさしたことが、後に「尚武」という言葉にかけて男の子の誕生を祝う行事になったとされています。

 端午の節句の行事食と言えば、「柏餅」と「ちまき」が連想されるでしょう。「ちまき」は端午の節句の行事とともに中国から渡ってきたと考えられており、中国の故事にまつわり「難を避ける」という意味のある食べ物です。それに対して、「柏餅」は日本オリジナルの祝い餅のようです。柏餅に使われる柏の葉は、新芽が出ないと古い葉は落ちないという特徴から、「子孫繁栄」を意味しています。江戸時代、端午の節句の縁起ものとして、関東地方で「柏餅」が食べられるようになっていったのに対して、上方では伝統を重んじて「ちまき」が伝承されたと言われています。そのため、今でも関東では「柏餅」、関西では「ちまき」を食べる傾向があるそうです。私は、生まれも育ちも浜松ですが、「ちまき」より「柏餅」の方がなじみ深いように思います。みなさんはいかがでしょうか。

 端午の節句は、「国民の祝日に関する法律」では「こどもの日」です。男の子も女の子も、みんな健やかに育ちますように。
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 「クマのおはなし」 〜2010年11月(234号)〜
 こんにちは。今年の夏は「暑いですね」が合い言葉のように繰り返された記録的な猛暑でしたが、秋を迎えてもまだまだ猛暑の影響はとどまるところを知らずという感じです。10月は野菜(特にレタスや白菜などの葉物)の値段が高騰しています。この野菜の品薄は、夏の猛暑とその後の残暑が影響しています。夏の終わりには、海水温度の上昇によりサンマ漁の不調が心配されました。日本の年平均地上気温は、長期的には百年あたり1.06℃の割合で上昇しているのですが、特に1990年代以降は高温となる年が多くなっています。このような温暖化の影響は、野菜やサンマ以外の様々な生物にも及んでいます。

 以前に比べて、秋にクマが民家や人里に出現して騒ぎになるニュースが増えたと思いませんか。以前は、キャンプや栗拾い、きのこ採りなど、人が山に入ってクマに出会うケースが多かったのですが、最近はクマが里へ下りてきてしまい、民家の庭先で目撃されています。

 クマの食べ物というと、物語や有名キャラクターの記憶が先行して「はちみつ大好き」というイメージですが、木の実や虫などを好む植物性に偏った雑食性なのです。特に日本に生息するツキノワグマは、おとなしく臆病で、本来は人を襲うことはしないそうです。ところが、最近の地球温暖化による気温上昇で、クマの好物であるブナやミズナラの実(ドングリ)が不作に年が多くなりました。また、ブナ林そのものが高温や開発の影響でどんどん減ってきています。そのため、冬眠前にお腹いっぱい食べたいクマが、食べ物を求めて人里に下りてきて庭先で柿を採って食べていたら、人と出会って大騒ぎ!となっているようなのです。

 浜松にいるとクマは遠い存在かもしれませんが、野菜の値段が安定しないのは身近な問題です。人もクマも、秋になってもまだまだ猛暑の影響は解決しそうにありませんね。
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 「『カロリーハーフ』は何の半分?」 〜2010年9月(233号)〜
 こんにちは。今年の春はいつまでも寒くて、ついこの前まで上着がかかせなかった記憶がありますが、ここ最近の猛暑はいったいどうこうことでしょう。この様子だと残暑も厳しい日々が続きそうです。熱中症にはくれぐれもご注意ください。

 さて、前回は「カロリーゼロ」等のお話をしました。「カロリーゼロ」「カロリーオフ」などの表示は、栄養表示基準により定められた表示に従っていて、基準が明確化されています。

 同じような表示で、「カロリーハーフ」「2分の1」「4分の1」「2倍」という表示が近年多く見られるようになりました。ところが、これらの表示については、今まで明確な基準がなかったため、今年の5月12日に消費者庁より、表示の明確化について自治体に通知がされ、9月末までに対応するように求められています。

 今までは、「カロリーハーフ」と表示があっても「何に対して半分?」なのかがわかりにくい場合がありました。そのため、これからはきちんと比較対象を明記することが必要です。例として、「☆☆ドレッシングカロリーハーフ。当社△△ドレッシングと比べて○g当たりカロリーが2分の1減」という表示になります。

 表示がわかりやすくなると、商品を選ぶ時に自分の好みに応じて選ぶ範囲が広がりますね。

 商品の表示だけではなく、お弁当のラベルやレストランのメニューでもカロリー表示が明記されるところが増えています。「カロリーオフ」商品を利用して食べ過ぎを予防できるとよいですね。
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 「『カロリーゼロ』『カロリーひかえめ』等の表示について」 〜2010年7月(232号)〜
 こんにちは。今年もあっという間に半年が過ぎてしまいました。本格的な夏はもうすぐですね。暑い季節になると冷たい飲料を飲む機会が多くなります。昨年頃から「カロリーゼロ」「ノンカロリー」「カロリーひかえめ」「ダイエット○○」などの表示の食品をよく見かけるようになりました。平成20年4月〜メタボリックシンドロームの予防に重点を置いた特定健診が始まり、接種カロリーを気にする人が増えたからでしょうか。

 食品の栄養成分表示は、厚生労働省の健康増進法、栄養表示基準で定められた基準を満たす必要があります。「低カロリー」「カロリーひかえめ」「カロリーライト」「ダイエット」「オフ」などの表示は、食品の場合は食品100gあたりの熱量が40キロカロリー以下であること、また、飲料の場合は100mlあたりの熱量が20キロカロリー以下であることが定められています。「オフ」も「ライト」も「ひかえめ」も、呼び名が違ってもカロリーにたいした違いはないというわけです。

 では、「カロリーゼロ」「ノンカロリー」などはカロリーはないのでしょうか。実は、「含まない」という意味の言葉を表示に使っている場合、基準値は食品も飲料も100g(またはml)あたりの熱量が5キロカロリー以下と定められています。つまり、「ゼロカロリー」はゼロではないのです。カロリーと別によく見かける糖類の表示でも、きちんと基準が決まっています。「オフ」「ひかえめ」「ノンシュガー」などの呼び名の違いを確認して商品を選んでみて下さい。ちなみに、「砂糖不使用」という表示は製造過程で砂糖を使っていないという意味なので、別の糖類が使われている可能性があり、「低減」を意味する表示基準を満たしていないことがあります。
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 「早寝早起き朝ごはん@」 〜2010年5月(231号)〜
 こんにちは。新年度が始まりました。今年の春は寒かったり暖かかったりで、体調管理が大変だったのではないでしょうか。寒暖の差は日によって十五℃位あったように記憶しています。私は寒い季節が苦手なので、強風の中でお花見をする人をうらやましくながめ、家の中で息子の希望を取り入れて模様替えをしたら収拾が付かない結果になり、しばらく途方に暮れていました。

 さて、前回「スポーツ栄養」の話題を取り上げました。その時に「食育」について少し触れましたので、「食育」のことを今月もお話ししたいと思います。

ごはんもりもり食べる 「食育基本法」が平成十七年七月に施行されて以来、「食育」という言葉が一般的に使用されるようになり、身近な言葉になりました。平成二十年四月からメタボリックシンドロームの予防に重点をおいた特定健診が始まり、大人の生活習慣の見直しが言われるようになりました。ところが、生活習慣というのは、長い年月の積み重ね、子どもの頃からの嗜好や育ってきた環境で形成されているものなので、そう簡単に変えられるものではありません。そのため、「子どもの頃から食に対する意識を身につけよう」という考え方が定着してきたように思われます。

 現在の学校教育では、「早寝・早起き・朝ごはん」が子どもの生活習慣の基本に位置づけられています。小学校の低学年の時から食育指導のパンフレットがあり、朝食の重要性を繰り返し講話されます。そして、高学年の家庭科学習になると、自分の食事の栄養バランスを分析できるようになるのです。これは、何を食べると安全、安心、健康でいられるかを判断する「選食力」が身についていると言えるのです。
 では、なぜ朝ご飯は大切なのでしょうか。それはまた次回お話ししますね。
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 「『スポーツと食事』について」 〜2010年3月(230号)〜
 みなさんこんにちは。今年も隔月で登場させていただくことになりました。みなさんに楽しく読んでいただけるようにがんばります。今年もよろしくお願いします。

 みなさんは、「スポーツ栄養」という言葉を聞いたことがありますか?「スポーツ栄養」とは、スポーツ選手がベストコンディションで試合に臨めるようにしたり、けがを予防して充実した練習に取り組めたりするための食事法です。今年のお正月に箱根駅伝で優勝した東洋大学駅伝部には、チームの食事のサポートをする専属の栄養士がいて、選手の食事に対する意識改革の手助けをしていました。マラソン金メダリストの高橋尚子選手のチームにも栄養士がいて、体調や練習量にあわせた食事の管理をしていました。「スポーツ栄養」というと、何か特別なサプリメントやプロテインを摂っているのだろうと思いがちですが、一般の食事の注意と変わらず、基本はバランス食です。栄養士は、選手の体調や練習量に合わせて、主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせて、一日に必要な栄養量をきちんと摂りながら食べることを指導しているのです。

 この考え方は、一流アスリートだけのものではなく、成長期に部活動で汗を流す子どもたちにも当てはまります。練習で疲れた子どもたちが、インスタント食品やスナック菓子、脂肪の多いハンバーガーばかりでは、けがが多くなったり、疲れやすくなったりして、期待通りの活躍ができなくなってしまうことがあります。子どもたちには、自分で適切な食事を選ぶことができるようになってもらいたいものですね。このような理由から、「スポーツ栄養学」は幼児期や児童期の「食育」を土台にして語られます。
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 「減塩な食生活」 〜2010年1月(229号)〜
 日本人の食生活は、塩分を摂りすぎる傾向があります。平成12年に策定された「新しい食生活指針」の中では、具体的に「食塩は1日10グラム未満を目標に」と言われています。特に、血圧が高めの方や、コレステロールの検査値が基準より高い方、糖尿病のある方などは、食塩の摂りすぎに注意しましょう。

 ところが、普段の食事で自分がどのくらい食塩を摂っているかを把握しておくのは、なかなか難しいことです。味付を問われると、ほとんどの方が「うちはとっても薄味です」と答えます。最初の1口を食べた時に「おいしい」と思う味ではなく、「ちょっと薄い」と思うくらいが丁度よい味付なのだそうです。また、みそ汁1杯には約1.5g程度の塩分が含まれます。そのため、朝・昼・夕の食事のたびにみそ汁などの汁物や、佃煮、漬け物、塩蔵の魚のように、塩分を多く含むものばかり摂取することはよくありません。食塩の摂りすぎは高血圧の大きな要因の1つです。塩は体の中でいろいろな働きをしていますが、ごくわずかしか必要ありません(1日3g程度)。自分の摂取している量を知るために、食事日記をつけてみることをお勧めします。高血圧などの持病のある方は、みそ汁1日1杯、漬け物も1日1回と決めるとよいでしょう。しかし、中には「食事のたびにみそ汁がほしい」と思う人もいるかもしれません。その時は、「具だくさんの汁にして、おかずを食べるイメージ。汁は残して飲まないように」と提案しています。

 加工食品(ハム、かまぼこなどの練り製品、インスタント食品など)にも、食塩が多く含まれています。自分がどれくらい塩分を摂取しているかを知り、食塩の摂りすぎを防ぎましょう。
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 「新聞の話題から」 〜2009年11月(228号)〜
 こんにちは。今年も残すところあと2カ月です。私は寒い季節は苦手ですが、暖冬なのも心配です。

 突然ですが、我が家にはカメが3匹います。クサガメ1匹とミドリガメ2匹です。クサガメハ主人が田んぼで拾いました。すごく動きがゆっくりしています。ミドリガメは子供が買ってきました。食欲旺盛で人によく慣れるので、とてもかわいいです。数年前には、息子が捕まえたアメリカザリガニも飼っていましたが、脱皮に失敗して亡くなりました。このうち、ミドリガメとアメリカザリガニは、外来種と呼ばれる生き物です。ミドリガメの愛称で呼ばれるミシシッピアカミミガメは、1960年代にペットとして輸入されましたが、ペットとして飼われていたカメが次々と捨てられた結果、自然界で大繁殖し、日本の在来種であるイシガメやクサガメの生存を脅かしています。アメリカザリガニは、元々はウシガエルの餌として輸入されたのですが、養殖池から逃げ出し、瞬く間に全国に広がったそうです。

 先日の中日新聞に、興味深い記事が載っていました。「増えすぎた外来種を捕獲、駆除して、生態系のバランスを守ろう」という動きがある一方で、「命あるものを捕えてただ捨ててしまうのは忍びないから食べて減らそう」という考えもあり、「『外来種を食べる会』が開催された」というものでした。アメリカザリガニは北アメリカ原産で、当地では食用として普通に食べられているそうです。味は、エビ風、しかし、エビに比べると身が少ないとか。

 食物は「命のリレー」です。駆除して捨てるのは命を粗末にしているという考え方には私もうなずけます。食糧自給率の低い日本ですが、現在アメリカザリガニは全国に住んでいます。近い将来、日本でも普通にアメリカザリガニをたべる日が来るのでしょうか。ザリガニは極端な話ですが、私たちは「命をいただいている」という意識を忘れずに食事に向き合いたいものですね。
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 「かぼちゃはどこから来たのかな」 〜2009年9月(227号)〜
 先日、息子とスーパーマーケットに行った時のことです。かぼちゃとスイカととうがんがあり、なぜかスイカだけが「西瓜」と漢字で書いてありました。小学校で、「特別な読み方の漢字」という単語を学習した後だったので、息子は興味深々。

息子息子「なで西なの?」
お父さん夫 「西からきたからだよ。」
息子息子「西ってどこ?」
お父さん夫 「中国から見て西だよ。」
息子息子「ふーん。南もあるの?」
お母さん私 「あるよ。南瓜はかぼちゃ。」すいか
息子息子「へー!とうがんは東?」
お母さん私 「違うよ。冬の瓜と書いてとうがん。」
息子息子「なんで?冬にとれるの?」
お母さん私 「冬まで保存できるって意味だよ。」

 ところで、本当にスイカは西から来たのでしょうか。スイカは中国でも「西瓜」と書き、中国の西方(中央アジア)から伝来してきたため、この名が付いたそうです。スイカという読み方は、中国語の「シーグア」が変化したものと言われています。

 では、かぼちゃはどこから来たのでしょうか。かぼちゃは中国でも「南瓜」と書き、「ナングア」と読みます。中国の南方から中国に伝わり、この名が付いたそうです。また、日本語での「かぼちゃ」という読み方は、中国語の読み方から変化したものではなく、「カンボジア」という国名に由来しているそうです。調べてみるとおもしろいですね。

 かぼちゃは、日本がぼちゃと西洋かぼちゃがあり、現在主流なのは、くりかぼちゃと呼ばれる西洋かぼちゃです。甘みが強く、ほくほくした食感があり、カロテン、ビタミン類を多く含む緑黄色野菜です。夏にとれる野菜ですが、「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」と言われます。ビタミン類が不足しがちな冬に、夏にとれたかぼちゃを食べて栄養補給をするという昔の人の知恵だったのでしょう。
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 「レッツ ウォーキングA」 〜2009年7月(225号)〜
 こんにちは。先月の予告通り、今月は「目指せ腹囲減少!」の2回目。いよいよウォーキング編です。

 現代での生活習慣では、ほとんどの人が生活活動量が低く、運動不足を自覚しているようです。特に浜松のような地方都市の場合、自家用車が主な移動手段になるため、電車もうの発達した都市と比べると1人1日当たりの歩数が格段に少ない傾向にあります。

 健康づくりと生活習慣病予防のための身体活動量の指針として、厚生労働省から「エクセサイズガイド2006」が発表されていますが、それによると身体活動量の目標値は歩数に換算すると1日あたりおよそ8000〜1万歩になります。歩行は1日の合計が1万歩になるように目指せばよく、連続歩行でなくても構いません。しかし、何事も無理は禁物です。運動習慣のない人は、初めは自分の1日の活動量を増やすところからスタートしてみましょう。「いつもより早足で歩く」「毎日掃除をする」大きな窓を拭いてみる」など、体を動かしてみることが大切です。ウォーキングを始めようかなと言う方は、いつもの自分よりまず1000歩増やすことを目標にしてみましょう。10分歩くと約1000歩、40〜50キロカロリーに相当します。

 また、先月号でもお知らせしたように、食事と運動を組み合わせて行う方がより効果が期待できます。腹囲が気になる方は、食事でも無理なく1日100キロカロリーのダウンを目指してみませんか。
100キロカロリーの目安は、「ごはん軽く2分の1杯」「マヨネーズ大さじ1杯」「どらやき2分の1個」「鳥のから揚げ小2個」などです。「もう1口食べたいけど、止めておく」のが100キロカロリーダウンの秘訣ですよ。
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 「酒は百薬の長?」 〜2009年5月(224号)〜
 春は歓迎会など飲酒の機会が多くなる季節です。栄養指導の席でも、飲酒について頻繁に話題になります。よくある質問の一つに、「一番飲んでも大丈夫なお酒はどれですか?」というものがありますが、残念ながら「お酒」はどの種類でも「お酒」なのです。

 アルコールは「エンプティーカロリー」と呼ばれます。これは、アルコールが健康のために必要な栄養素を含まないため、「空っぽ」という意味です。飲酒の席では、脂っこい物や味の濃い物、塩辛い物が好まれやすく、アルコールの影響でつい食べ過ぎてしまいます。しかし、アルコールのカロリーを気にして、「お酒を飲んだからご飯は食べない」とか、「おつまみはスナック菓子だけ」という極端な減食は避けて下さい。きちんと栄養を補うために、刺身や冷や奴などの脂肪の少ない良質なたんぱく質、野菜の漬物、お浸しやサラダなど野菜の副菜、ご飯やパンなどの主食を少量ずつでもきちんと食べることが大切です。

 望ましい飲酒量は、「1日に日本酒1合程度」と言われています。これは、ビールなら500ml、焼酎なら180mlに相当します。飲酒習慣のある方は、1日当たりの量を決め、週1日以上の休刊日を設けることが望ましいです。

 適度な量を守り、疲労回復やストレスの解消に役立つような、楽しいお酒にしましょう。今年の春はどんな桜が咲くでしょうか。船越公園の土手の桜が満開になる日が待ち遠しいですね。
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 「たまご まごまご♪」 〜2009年3月(223号)〜
 興味深い相談がありましたので、今回はそのお話をしようと思います。

 「たまごは生で食べるのと、ゆでたまごで食べるのとでは、どちらがコレステロールが多いのか?」という内容です。

 さて、どちらが多いと思いますか?それとも、変わらないでしょうか。食品成分表によると、「変化なし」が正解のようです。

 たまごは、「卵白」と「卵黄」に分けられます。「白身」と「黄身」といういい方もしますね。それでは第2問です。「卵白」と「黄身」とではどちらがコレステロールが多いのでしょうか?正解は「黄身」が圧倒的勝利です。

 一般的に、「コレステロールの多い食品」の代表のように言われている卵ですが、含まれている蛋白質が良質で、栄養価が高い食品です。コレステロールを気にされる方は、「食べない」のではなく、「食べ方を工夫する」とよいでしょう。

 最初の質問に戻ります。「生たまごとゆでたまごは、どのようにして食べますか?}という問いになったら、何と答えますか?「塩をひとふり」という食べ方と、「マヨネーズをつける」という食べ方では、カロリーもコレステロールも随分と変わります。「目玉焼き」にしてみたらどうでしょう。植物油を使いますか?ケチャップをつけたら…?

 たまごは生たまごでもゆでたまごでも、栄養価の違いはなさそうです。たまごそのもののコレステロールも気になりますが、それ以上に食べ方や食べる量で栄養価が違ってくるのですね。
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 「恵方巻きについて」 〜2009年1月(222号)〜
恵方巻き こんにちは。2月3日は節分です。最近ではその年の恵方(吉方位)を向いて太巻きを丸かぶりするという「恵方巻き」が、節分の行事として定着してきたようです。この「恵方巻き」とは、関西発祥の行事で、1998年頃に大手コンビニエンスストアーにて全国販売され、これにより様々なお店やメディアで取り扱われるようになり、全国的に有名になってきたそうです。

 「恵方巻き」には食べ方のルールがあります。その一、一人一本ずつの太巻きを縁を切らないようにという意味を込めて、包丁を入れず丸ごと一本を食べること。その二、その年の恵方を向き、願い事をしながら最後まで食べきること。このときに、話をすると運が逃げてしまうので、食べ終わるまで絶対に口をきいてはいけないそうですが、これはかなり大変そうです。

 「恵方巻き」は七福神にちなみ、七種類の具を巻いた太巻きが主流で、かなりのボリュームがあります。具材は様々ですが、市販のものはたんぱく質が多く、野菜が少ない傾向にあります。塩分も多くなりやすいので、塩分を控えたい人は一緒に汁物などを取るのではなく、野菜をサラダやお浸し、ソテー(野菜炒め)などで追加すると良いでしょう。塩分制限を意識して、カリウムを摂るために生のフルーツをデザートに食べるということは、昼食なら良いのですが、夕食でしかも八時以降となるとお勧めできません。楽しいイベントですが、くれぐれも食べ過ぎは禁物です。

 2009年の恵方は、東北東だそうです。家族みんなが同じ方向を向いて黙って太巻きを丸かぶりしている姿を想像すると、それだけでとっても楽しくなります。今年は、我が家も挑戦してみようかなと思います。
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 「レッツウォーキング@」 〜2008年11月(221号)〜
 緑の新芽も色が濃くなり、外で体を動かすことが気持ちのよい季節となってきました。最近は、春に運動会を行う学校も多いようですね。

 メタボリックシンドロームの診断を取り入れた特定健診が、昨年の4月に導入されてから2年目に入りました。「自分の腹囲は85センチメートルは絶対にない」と自信があっても、腹囲を測定してもらう瞬間はドキドキしますね。

  「腹囲の1cm減少は、約1キログラムの体重の減少に相当する」と言われています。そして、体の中の内臓脂肪1kgは、約7,000kcalに換算されます。例えば、1ヶ月かけて1cmの腹囲を減少させるためには、1日当たり約230kcalを消費すればよいのです。

 一般に、運動のみで体重を減少させるよりも、食生活の見直しと身体活動量の増加を合わせて行った方が減量がしやすく、内臓脂肪の減少量も大きくなります。運動量の増加と食事の見直しで内臓脂肪を減少させ、メタボリックシンドロームを改善しましょう。

 内臓脂肪を減らすために食事で気をつけたいことは、1日3度の食事のリズムをきちんと作ることです。朝食抜き、間食やアルコールの摂りすぎ、夜遅い食事などは、内臓脂肪が蓄積する大きな要因になります。野菜を十分に摂り、脂肪や糖質を摂りすぎないように心がけましょう。運動のポイントは、毎日の生活の中で体をこまめに動かす習慣を身につけることです。いつもよりも少し早めに歩いたり、階段を利用する、テレビを見ながら体を動かす、積極的に子どもと遊ぶなど、生活の中に運動を取り入れましょう。
 「いつでもどこでも楽しく歩こう一万歩」。次回はいよいよウォーキング編です。
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 「食事バランスガイド」 〜2008年9月(220号)〜
 みなさん、こんにちは!はじめまして。管理栄養士の川合です。毎週火曜日に診療所の一番奥にあるリハビリ室にて、栄養指導業務を担当しています。どうぞ、よろしくお願いします。

食事バランス さて、みなさんは「食事バランスガイド」をご存知ですか?「食事バランスガイド」とは望ましい食生活について1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいのかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。1日に「何を」「どれだけ」をコマに見立てています。偏って食べるとバランスが崩れコマが倒れてしまいます。つまり、しっかり回るバランスのよいコマにすることを目指せばよい!というわけです。
 「何を」は、食卓の料理をおおまかに「主食」「副菜」「主菜」「牛乳乳製品」「果物」の5つに分けて考えます。
 「どれだけ」は、およその量を「○つ(sv)」という単語で数えます。数え方は「ひとつ、ふたつ、みっつ…。」例えば、茶碗にご飯小盛り1杯が、主食1つ分です。

 「食事バランスガイド」の使い方は、付属の表から自分が1日に必要なエネルギー量と、それに応じた各料理区分の目安となる料を選択して、自分に適したコマの形を見つけます。そして、食事をする時に「区分」と「○つ(sv)」を考えて料理を数えたりしながら、バランスのとれたコマを目指します。自分にあった食事量を知ることは、肥満の防止にも役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。厚生労働省のホームページでも閲覧できます。
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