「Drミナの診察室」
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2006年4月から浜松佐藤町診療所にて診療を行っている、子育て奮闘中の水谷Drの記事です。
●No.32「大気汚染について」編 ●No.31「傷はよく洗って乾かさない!」編
●No.30「冬の食中毒」編 ●No.29「いじめと学校」編
●No.28「孤独死・孤立死(下)」編 ●No.27「孤独死・孤立死(上)」編
●No.24「上手に診察を受けるためのコツ」編 ●No.23「ワクチンと予防接種」編
●No.22「子どもとメディア」編 ●No.21「子育て」編
●No.20「脂肪肝」編 ●No.19「肺炎球菌ワクチン」編 ●No18「感染に関する偏見」後編
●No.17 「感染症に対する偏見」前編 ●No.16「おくりびと」編
●No.15「うつ病」編 ●No.14「リストラ」編 ●No.13「花粉症」編
●No.12「年の瀬のご挨拶」編 ●No.11「インフルエンザ」編 ●No.10「戦争と医師(下)」編
●No.9「戦争と医師(上)」編 ●No.8「メタボ」編 ●No.7「医師不足(下)」編
●No.6「医師不足(上)」編 ●No.5「禁煙外来」編 ●No.4「子育て奮闘記」編
●No.3「薬害肝炎」編 ●No.2「インフルエンザ」編 ●No1「自己紹介」編 |
●No.32「大気汚染について」編 〜2013年5月(249号)〜 |
今年はPM2.5という微粒子が話題になりました。このPMというのは、「粒子状物質」という意味で、大気汚染の原因となる微粒子全般のことを指します。排気ガスや石炭の燃焼など様々な人間の活動で生成される物質を粒子の大きさで表現しており、2.5マイクロ以下の微粒子をPM2.5、10マイクロ以下の微粒子をPM10と呼びます。PM10に比べてより小さなPM2.5の方が肺の奥深くに到達するため、健康被害が心配されています。ちなみに、スギ花粉の粒子は30〜40マイクロ、タバコの煙は0.01〜1マイクロと言われます。PM2.5は髪の毛の太さの30分の1程度の大きさです。
さて、大気汚染による健康被害で思い浮かぶのは、喘息をはじめとする呼吸器疾患でしょう四日市喘息のように公害として認定されるケースもありました。しかし、以外かもしれませんが不整脈や高血圧症などの循環器疾患への影響が明らかになってきています。
特に、血管内皮障害を起こして動脈硬化性疾患を引き起こすメカニズムが注目されています。また、ある研究では二酸化硫黄がリウマチのリスクを増大させることが報告されました。そのほか、微粒子への暴露で認知機能低下が出現しやすくなるという研究結果もあります。大気汚染がこんなにも様々な病気を起こしうるとは・・・実は大変深刻な問題なのです。
喫煙によって室内のPM2.5濃度が上昇することが分かっていますので、身近な対策としては無煙化を推進していきましょう。小児や高齢者は特に感受性が高く何らかの健康被害が出やすいと言われていますので、周囲の人たちのことを考えて行動しましょう。
一方で気になるのは、PM2.5の成分が何であるかということです。排気ガスや石炭の燃焼と先ほども書きましたが、人間の活動で発生するものは、粉じんや有機化合物そのほか有害物質が多数存在します。高濃度汚染でなければ問題ないにしても、1日に1万リットル以上も吸い込む目の前の空気に本当は一体何が入り込んでいるのか・・・もう少し分かりやすい呼び方が存在するとありがたいのですが。
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●No.31「傷はよく洗って乾かさない!」編 〜2013年3月(248号)〜 |
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私が医師になって11年が過ぎようとしています。医師になったばかりの頃と比べると、医療現場で行う処置はさまざまな進歩があります。
今回は、怪我・手術創の消毒や管理の仕方が大きく変化していることを取り上げています。約10年前までは、創部は毎日消毒して滅菌ガーゼで覆い、少なくとも抜糸までは毎日消毒に通って、入浴は一切禁止としていた医療機関が多かったはずです。「傷は乾燥させた方がいい」と信じられていたのですが、湿潤環境に保った方が創治癒に有効とする考え方が徐々に報告され、2000年頃から日本でも広まってきました。具体的には、水道水で創部をよく洗浄して、特別な被覆材で覆うという治療です。
以前、足の熱傷の患者さんが来られた時、ワセリンを塗り、薄いフィルムを貼っただけで帰っていただきました。数日して再来した時には、綺麗に傷が治っていて大変驚かれておりました。
もともと皆さんの傷からは、傷を治そうとする体液が出てきているのですが、従来のやり方でガーゼを貼ると、乾いてしまって体液がなくなり、かつ、ガーゼをはがす時に傷をさらに深くしてしまうという悪循環でした。さらに消毒を行うと、悪い菌(外来菌)がいなくなるのはいいのですが、良い菌(常在菌)までいなくなってしまい、自分の細胞にまで障害を及ぼしてしまうため、ますます傷が治らないわけです。
ただし、感染を伴う傷であれば対応を変えなければいけません。汚いところでの外傷は破傷風の発症も心配されます。傷の周辺が赤くなっている、出血が止まらない、汚染されている、など傷のことで不安があれば、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
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●No.30「冬の食中毒」編 〜2012年11月(246号)〜 |
生肉や浅漬けで病原性大腸菌に感染して死亡者が出たニュースは記憶に新しいと思います。浜松市内でもサルモネラ菌が原因の集団食中毒の報告がありましたね。夏場は細菌性食中毒が多いのですが、これからの冬の季節はノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性食中毒が多いと言われます。
ノロウイルスは最近よく聞かれるようになりました。以前からその存在は知られていましたが、ノロウイルスという名前は2002年に学会で承認されたばかりです。原因食品としては、カキ、アサリ、シジミなどの二枚貝があげられます。主な症状は吐き気やおう吐、下痢、腹痛、発熱などです。下痢が頻回になると脱水症状が悪化し、特に幼い子どもや高齢者の場合は命にもかかわることがあります。下痢するからといって飲水を控えているのは大変危険です。嘔吐のときでも3−4時間以内には経口補水液を少しずつ摂取するように努めましょう。(市販のものですと、オーエスワン、アクアライトORSなどがあります。)
食事が摂れるようになったら、普通の食事で構いません。以前は「りんごのすりおろしやおかゆを食べて、乳製品は控えましょう」と言われていましたが、速やかに栄養補給することのほうが大事です。「うちの子はなかなかおかゆを食べてくれなくて…ヨーグルトやカレーなら食べるのですが…」というお子さんがよくいますが(我が子もそうでした)、それでOKです。ただ、確かにりんごのすりおろしは胃腸炎に効きますが、皮ごとすりおろさないと意味がないので注意してください。母乳を飲んでいるお子さんには母乳を継続して構いません。ミルクを飲んでいるお子さんには、薄めたミルクや特殊なミルクに変更する必要もありません。以上が最近の救急分野の見解です。
感染経路は飲食したものばかりではなく、発症した人の便や嘔吐物への「接触感染」や、それらが飛沫化し「飛沫感染」による二次感染もあります。便や嘔吐物の処理には、使い捨ての手袋やマスクやエプロンを身につけましょう。衣類や床などの消毒には、アルコールではなく塩素系洗剤を使用するようにしましょう。おうちでのケアや消毒の仕方について詳しく知りたい方は、診療所に資料を用意しておりますので窓口でお尋ねください。
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●No.29「いじめと学校」編 〜2012年9月(245号)〜 |
大津のいじめ自殺問題が騒がれてしばらく経ちます。今回の件については、自殺して数ヶ月も経ってから大きな報道が始まったので非常に驚きました。学校側や教育委員会の対応について批判が相次いでいます。教育評論家の尾木直樹先生は、ラジオなどの報道の中で、現在の学校評価システムの問題も指摘されていました。現場の先生方には、外部の目ばかりを気にせずに、そこにいる子どもたちの目をもっと見つめてほしかったと、残念でなりません。
いじめは醜く悲惨なものです。どうしたらお互いを尊重し合い高め合っていけるのでしょうか。幼い子どもたちを見ていると、どの子も本当に素直で素敵な子たちばかりです。いじめっ子も小さいころは同じように素直だったのだと思います。ではどうして人を傷つけたりお金を盗ったりしても心痛むことがなくなってしまったのでしょう。ほんの些細なことで、人の生き様は狂ってしまうのかもしれません。流されやすい弱い部分を周りの人たちできちんと支えてあげて、芯の強い正義感のある人に育ててあげることが大事なのでしょうね。私自身も、我が子を「いじめない子」「他人を思いやる人」に育てていきたいと、さらに思いを強くしました。
加害者側と被害者側双方のSOSをキャッチして、みんなと一緒にどうしよう〜こうしようと、私の小・中学校時代はそんなやりとりができていたように思います。いじめをオープンにすることを怖がっていたって仕方ありません。だって、現場の子どもたちはどんないじめが起きているのかを大人より分かっているのですから。そしてみんなで解決しようと知恵を出し合い、お互いに向き合うことによって、「友愛」や「信頼」を学んでいくのです。将来大人になった時に、世界中に存在する戦争や差別や偏見を乗り越える力へとつながっていくのではないでしょうか。学校では勉強だけではなく、そういうことこそ学んでいってほしいと願っています。
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●No.28「孤独死・孤立死(下)」編 〜2012年7月(244号)〜 |
(5月号からの続きです)
県営住宅に一人暮らしをしていたKさんの姿が見えないため、県職員・身元引受人・警察で自宅に入ると、つけっぱなしのストーブのそばでKさんは倒れていました。すでに息は途絶えており、遺体の腐乱も始まっていたそうです。事件性はなく何らかの病死だろうという結論でしたが、ご高齢とはいえ元気に通院されていたKさんが自宅で孤独死されていたと聞いた診療所職員は、皆非常に驚き、悲しみました。
Kさんや、5月号で紹介したTさんのように、週2、3回と頻回に診療所に通院されている患者さんでも、突然発症する病状の変化があれば、自宅で孤独死しかねません。
ある自治体では、高齢世帯の家を訪問するようにしましたが、2週間に1回の頻度です。ある自治体では、民医連の診療所とタッグを組んで、「あんしん電話」を導入しました。パソコンから対象者宅へ電話が自動発信され、それに対して「1」とか「2」とか簡単な番号を押して状態を知らせるものです。具合が悪ければ診療所の医師やスタッフが状態確認に来てくれます。それでも自動発信は週1回しかありません。
一人暮らしの人が安心して暮らすには一体何が必要なのでしょうか? システムの構築も重要だとは思いますが、それを作るのは人間です。その人らしい生き方を支えるような温かい気持ちを持つ人間でなければ、システムは上手く働きません。“プライバシーの保護”を履き違えた行政に、「市民のいのち・生活を守るのが本当の仕事」と猛反省を迫りつつも、私たち診療所にできることは何なのか、どのようなことが求められているのかを、皆さんと一緒に考えて実践していきたいと考えています。まずは、一人暮らしの患者さんは次の診察の際に、@一人暮らしであることA連絡のとれる家族や近所の人を教えてくださいね。
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●No.27「孤独死・孤立死(上)」編 〜2012年5月(243号)〜 |
最近、自宅で一人きりで亡くなっている「孤独死」や、主介護者が亡くなってしまったために障害を持つもう一人も死亡するケースが相次いで報告されました。日常診療の中でも、一人暮らしの患者さんから「自分も何かあったらどうしよう」と不安な声が聞かれました。私の経験でも、実際に幾人かの一人暮らしの患者さんが「孤独死」で旅立たれています。その中でも印象的なお二人をここにご紹介いたします。
@Tさん・73歳・男性。マンションに一人暮らし。肝硬変・肝臓がんのため診療所以外にS病院にも通院しておりました。腹水がたまってきており、診療所には週3回ほど点滴加療を受けに来られていましたが、食欲は良好で、元気良く挨拶をされていました。ある日S病院の外来予約日にTさんが受診されなかったため、S病院の方からTさんを担当していたケアマネージャーに連絡が入りました。ケアマネージャーがTさんの自宅に入ったところ、リビングにうつぶせで倒れて死亡しているTさんを発見しました。肝臓癌・肝不全の末期であり、いつ何があってもおかしくない状態ではありました。
AKさん・88歳・女性。県営住宅に一人暮らし。高血圧症、逆流性食道炎、変形性膝関節症などの疾患があり、電気治療のため週2回程度当院に通院しておりました。普段と変わったご様子もなくある年末の12月29日にもお見えになり、「次は年始の1月4日に来るね」と予約を取っていかれました。しかし、1月4日当日、外来に姿が見えないため、診療所の事務が身元引受人へ連絡を入れました。
ちょうどその日に県営住宅の隣人が「電気がつけっ放しだし、年末のゴミ出し以来Kさんの姿を見ていない。様子が変だ。」と気付いて県に連絡を入れていたそうです。県から身元引受人のところへ「自宅へ入りたいので立ち会ってほしい」と連絡があり、県職員と身元引受人と警察で現場に向かいました。診療所が連絡したときには、すでに自宅へ入ろうとしていたそうです。
(次号へ続く)
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●No.24「上手に診察を受けるためのコツ」編 〜2011年11月(240号)〜 |
今回は“上手に診察を受けるためのコツ”を伝授いたしましょう。寒くなってきて調子を崩す方が多くなってきました。外来診察を要領良く行って、次の人たちの待ち時間を短くするためにぜひ協力していただきたいことがあります。
まずは服装です。これから寒くなり幾枚も重ね着して来院されると思います。しかし、いざ身体診察を行おうとすると、肌が出てくるまでに一枚また一枚とめくっていくのに案外時間がかかるのです。待合室は暖房を入れて温かくしておりますので、診察室に入る前に軽装になっていただけるとありがたいです。顔色や爪の色も診察の参考になることが多いので、女性の方はナチュラルメイクでお願いします。
そして、お話です。よくあるパターンは、診察室に入ったら聞きたいことを忘れてしまったというものです。その場合は、質問したいことをあらかじめメモしておきましょう。メモを見ながら医師にお尋ねください。また、体調がすぐれないことを上手に医師に伝えるには、次のポイントを押さえるとよいでしょう。@いつからAどこがCどんな痛さ(あるいは熱や咳や各症状)かDどのぐらい続くのかE何をすると良くなるのか・悪くなるのかFほかの症状を伴うのか、ということです。これによって、私たち医師は可能性のある様々な疾患を「鑑別」していきます。
高血圧や糖尿病、高脂血症などで定期通院中の方については、ご自分の病気の名前・内服中の薬について記載した手帳を持ち歩きましょう。東日本大震災のような災害が起きた時にも有用ですし、受診してみたら当院の電子カルテが動かない…!というときにも、その手帳があれば定期薬が確認できます。
ついでに、これまでの既往歴・手術歴・アレルギー歴・輸血歴・受けた予防接種・今年の健康診断の結果なども一緒に書いておけば、立派な「マイカルテ」になりますね。介護保険を利用している方は、現在の介護度やケアマネージャーさんの名前・連絡先も記載してください。これは大変役立ちますよ。ぜひ実践してみましょう!
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●No.23 「ワクチンと予防接種」編 〜2011年9月(239号)〜 |
先日、震災ボランティアに参加する女性が、破傷風の予防接種(任意)に来られました。現在は定期接種としてすっかり定着し、生後3カ月〜90ヵ月未満の子どもに三種混合ワクチン(※1)として4回、11〜12歳に二種混合ワクチン(※2)として1回の接種が公費負担で行われています。三種混合ワクチンは、昭和43年以降に広く行われるようになりましたが、百日咳ワクチンの副作用の問題があり接種を控えている地域もあったようです。改良が進んだ昭和56年からは多くの地域で三種混合ワクチンが接種されるようになったそうです。
破傷風とは、その毒素が神経を侵して口が開かなくなったり飲み込みができなくなったり、ひどい場合は呼吸困難に陥って死に至る病気です。破傷風菌は広く土壌中に常在し、家畜の腸内や糞中にも生息すると言われています。外で怪我をしたりペットや家畜に咬まれたりすれば、その傷から菌が感染する可能性があります。国立感染症研究所によると、日本の年間患者報告数は100人前後ですが、2004年〜08年に報告された患者546人中、513人(94%)が40歳以上です。つまり、定期予防接種が安定して行われていなかった世代ということになります。
破傷風に対する免疫はワクチンでしか得られないので、予防接種歴のない40代以上の方には、基礎免疫として沈降破傷風トキソイドを初年度2回、翌年1回の追加接種をお勧めいたします。乳幼児および学童期にすでに接種されている方であれば、10年〜20年に1回ごと追加接種を行っていただければ、免疫力が維持されると考えられています。成人の方の破傷風予防接種は任意接種ですので、自己負担となります。病院・クリニックによって費用が異なりますが、当院では友の会会員は5250円/回、友の会以外の方は6300円/回です。野外活動が多い5〜10月の時期に患者数が多いようですので、屋外での作業が多い方やペットのいる方たちには、予防接種をお勧めいたします。もちろん一番大事なことは、怪我をしないこと、なんですけれどもね。
※1 三種混合ワクチン(DPTワクチン):ジフテリア、百日咳、破傷風の混合ワクチン
※2 二種混合ワクチン(DTトキソイド):ジフテリア、破傷風の混合ワクチン
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●No.22 「子どもとメディア」編 〜2011年5月(237号)〜 |
皆さん、こんにちは。3月11日に東日本大震災が起こり、今もなお多くの方々が避難生活を強いられている状況ですが、皆さんの身内の方やお友達の方々はいかがお過ごしでしょうか。お見舞い申し上げると同時に、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。
さて、皆さんのおうちでは、小さいお子さんがいるのにテレビがつけっ放しということはありませんか?そうであれば、日本小児科医会からの提言を守るようにしましょう。「1.2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。2.授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう。3.すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。4.子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パーソナルコンピューターを置かないようにしましょう。5.保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。」(2004年2月、日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会)
大きな理由として、小さいころから長時間テレビを見ている子どもたちに、言葉や心の発達に問題が生じていることが挙げられます。「言葉が出てこない」「自閉症ではないか」などと小児科医に相談に来た親子…よくよく話を聞いてみると、幼児用の英語映像教材を一人っきりで見せ続けていた、ということもあるようです。乳幼児は、身近な人との関わりあいの中で、言葉やコミュニケーション能力を獲得して、心と身体を成長させていきます。子どもたちの大好きなパパやママや園の先生などの語りかけや絵本の読み聞かせが、成長・発達にとって非常に重要なことなのです。
とはいえ、テレビ見ている間に家事を済ませてしまおう…と思う働くママも多いのでは? 核家族化・孤立化が進んで地域社会は崩壊しかかっているし、両親はこの不景気の中がむしゃらに働くしかないし、誰も子どもの面倒を見てくれない中で、疲労しきった親たちにどこまで頑張れと言えるのか…。社会全体の責任で、子どもたちを豊かな心に育てていけるといいのですが。
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●No.21 「子育て」編 〜2009年11月(228号)〜 |
皆さん、こんにちは! 紙面ではお久しぶりになりますね。さて、おかげさまで我が息子は3歳になりました。息子が病気になって、私の外来診療が突然休止になることもあり、皆さんには大変ご迷惑をおかけしてきました。それでも年を重ねるごとに熱を出す回数も減り、随分と身体が強くなってきたなと感じています。
私も夫も実家が遠方にあるため、息子は近くの保育園にお世話になっています。息子がここまで成長できたのは、保育士の先生たちの存在が欠かせません。子どもの話に辛抱強く付き合って聞いて下さったり、些細なことでも一緒に喜んで下さったり、日常生活の中から様々な力が身に着くような工夫をしていただいたりと、その取り組みには本当に頭が下がります。息子の豊かな表情を目にしていると、周囲にどのような保育者がいるのかというのが子どもの成長・発達にとって如何に重要か…ということを考えさせられます。
また、朝は8時前〜夜は18時過ぎまで、1日計10時間以上も預かっていただいているので、日中フルタイムで働くことが出来ます。ただ、医師を対象とした様々な学習会や学会が行われるのは、平日夜間や週末なので、ほとんど参加することができません。以前、ファミリーサポートセンターを利用して、夜間に預かっていただいたこともありましたが、子どもがぐずってしまって罪悪感が残ってしまいました…。他の先生たちと同様に夜勤や電話拘束があれば、24時間対応の別の保育所に預ける必要があります。夫との勤務調整がうまくいけば、交代で子どもを世話することができるのでしょうけれども、夫は当番日でなくても緊急手術があればいつでも呼び出されてしまいます。(…そういえば振り返ってみると、正月休みと夏休みと学会・研修会以外は、夫は浜松市外に出ることがほとんどありませんね。)通常の保育園が受け入れ可能な時間の最大限まで子どもを預かっていただいても、夜勤・拘束免除が続けば医師としての勤務は半人前というわけですが、小さいうちはなるべくそばにいてあげたいというのも親心…。うちに帰って、息子が「ママ」と私を呼ぶところを、保育園の先生の名前を叫んでしまった時には、なんとも複雑な気持ちでありました…。
以上のように、子ども一人の育児でも大変な状況なのですが、第2子(また男の子のようです)を4月初めに出産予定です。そのため、外来診療およびこのヘルシーの連載もしばらくはお休みさせていただきます。皆さんには再びご迷惑をおかけしますが、復帰までお待ちいただきますようお願い申し上げます。いろいろと応援していただいて、ありがとうございました。
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●No.20 「脂肪肝」編 〜2009年11月(228号)〜 |
みなさん、こんにちは!
いよいよ食欲の秋ですね!・・・でも、メタボにならないように気をつけたいものですね。メタボリックシンドロームの患者さんには、脂肪肝が高頻度に合併しますが、この脂肪肝・・・なかには肝硬変や肝癌など致死的な疾患に進行するものがあることをご存じですか?
アルコールに関連する脂肪肝の場合、アルコール性肝機能障害を伴うことは容易に想像がつくと思いますが、「私はそんなにお酒を飲まないから大丈夫!」と思っている人でも、脂肪肝には注意が必要です。アルコールに由来しない脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝疾患・・・NAFLD(non-alcoholic
fatty liver disease)と総称されます。その中でも肝硬変・肝癌に至るものを非アルコール性脂肪肝炎・・・NASH(non-alcoholic
steatohepatitis)と呼んでいます。NAFLDの約1割がNASHに進行するものと考えられています。また、NASHは5〜10年で、5〜20%の症例が肝硬変に至ると言われています。
血液検査では、肝機能関係はGOT、GPT、γGTPなどの項目がありますが、特にGPT(ALT)、γGTPは、その後の心血管系の病気を示唆するデータと考えられ始めています。
脂肪肝で、かつGPT(ALT)高値・γGTP高値の場合は、将来心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いため、生活習慣の見直しが必要ですね。
みなさんの今年の健康診断の結果はいかがでしたか?たかが脂肪肝と思っていませんか?今一度自分の肝臓と向き合ってみませんか?
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●No.19 「肺炎球菌ワクチン」編 〜2009年9月(227号)〜 |
みなさん こんにちは!前回から紙面が一新され、私は隔月の登場となりました。よろしくお願いします。
さて、今回は「肺炎球菌ワクチン」についてです。新型インフルエンザが広がる中、毎年恒例の季節性インフルエンザワクチンの生産が追いつかない状況のようです。そこで、高齢の方に是非打っていただきたいのが、この「肺炎球菌ワクチン」です。
インフルエンザにかかったときに怖いのが、ウイルスそのものによる肺炎よりも細菌性肺炎の合併なのです。実際に、過去の新型インフルエンザが流行したときも、死亡原因の多くが細菌性肺炎であり、菌血症(血液内に細菌が入り込んで全身状態を悪化させる状態)を起していたというのです。細菌性肺炎の多くは、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インルルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なるもの)、レンサ球菌などが原因ですが、そのうち、肺炎球菌に対してはワクチンが開発されました。
65才以上の高齢者、慢性の呼吸器疾患・心疾患、糖尿病などをお持ちの方にはこの肺炎球菌ワクチン接種が推奨されています。有効期間は5年程度と言われていますが、再接種はまだ日本では認められておりません。いつ再接種が認められるようになるかはまだ確定しませんが、第2派のインフルエンザは大規模な感染が懸念されておりますので、持病のある高齢の方には今年のワクチン接種をお勧めします。詳しくは受付や受診の際にお尋ね下さい。
また、自治体によってはインフルエンザワクチンのように公費でおこなっていることろもあります。浜松市でも是非実施してもらいたいですよね!
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●No.18 「感染症に対する偏見」後編 〜2009年7月(226号)〜 |
こんにちは!何でもありの風変りな診察室へようこそ!新型インフルエンザは、その後国内発症例がどんどん増えている状況ですね・・・。WHOでは6月11日にパンデミックを宣言しました。皆さんやご家族の方は大丈夫でしょうか?
さて、前回の続きです。5月16日の友の会総会は大勢の方々にご参加いただきまして、ありがとうございました。ハンセン病問題をとりあげた「新・あつい壁」はいかがでしたか?
静岡県内には、明治20年日本で初めてできたハンセン病療養所である私立「神山復生病院」と、昭和20年日本で最後に出来た国立「駿河療養所」があります。昭和4年から始まった「無らい県運動」は、戦後を迎えてもなお「第二次無らい県運動」として実施され、その隔離政策は続きていました。
昭和22年ハンセン病の特効薬・プロミンが日本でも手に入るようになり、ハンセン病は治癒する病気となりましたが、昭和23年制定の優生保護法ではハンセン病もその対象疾患に入り、合法的に断種・中絶手術が行われていました(平成8年に「母体保護法」に改正され適応疾患から除外。)
平成8年にようやく「らい予防法」が廃止されましたが差別偏見は根深く、平成15年には熊本県内のホテルが療養所入所者の宿泊を拒否する事件が起こりました。そして、昨年の北京オリンピックにおいては、北京オリンピック委員会がハンセン病患者(そのほか精神疾患、性病患者など)の入国を拒否する指針を示して人権問題にもなっています。
三島市にある民医連の病院・三島共立病院では、平成元年から駿河療養所からの医療協力の申し出に応え、CT撮影や入院加療も受け入れてきました。病院内の外科解説にあたっては資金のご援助もいただき、互いに支え合って今日に至ります。昨年は東海北陸の民医連に所属する若手職員たちが、駿河療養所でフィールドワーク(現地を実際に訪れて観察・聞き取りなどを行う学習)」を行い、ハンセン病についての理解を深めました。今後も療養所の皆さんのお力になれるよう、職員の中でも学習を積み重ねていきたいと思います。
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●No.17 「感染症に対する偏見」前編 〜2009年6月(225号)〜 |
みなさん、こんにちは!ゴールデンウィークを海外で過ごした方もいらっしゃるのではないでしょうか?ちょうど新型インフルエンザの問題があり、出入国の手続きが大変だったことでしょう。この原稿を書いている現在、帰国邦人の感染が確認されたところですが、市中一般の病院では患者さんの報告はありません。なんとか水際で防御しているところのようですが、感染および感染疑いで隔離されている方は、大変心寂しく不安な日々を送っていることとお見舞い申し上げます。
この新型インフルエンザは、季節性のインフルエンザが潜伏期間1〜3日であるのに対して1〜7日と言われていますので、検疫ですり抜ける可能性も大きいのですが、現時点では抗インフルエンザ薬に感受性もあり、冷静に対応すれば問題ないものと考えます。
さて、このような感染症に対しては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(いわゆる”感染症予防法”)と「検疫法」に基づいて国が動いているわけです。しかし、法律はあくまで人間が作成したものであり、その歴史を見ていくと様々な問題点も指摘されます。特に感染症はいたずらに不安や偏見を持たれやすい側面もあります。今回の新型インフルエンザに感染した大阪の高校生たちに対しては、誤解に基づく誹謗中傷の電話が相次いでいるようです。大人からの心ない言葉が、未来ある高校生たちをどれだけ傷つけていることか!
正しい知識を得ること・知らせていくことが大変重要です。
感染症の歴史を振り返りますと、中でもハンセン病患者に対する偏見は根深く、隔離政策(1907年制定「癩予防二関スル件(癩予防法)」→1953年「らい予防法」)について国が誤りを認めたのはつい最近のことです(1996年廃止)。ハンセン病は、「らい菌」による感染症で、現在の医学では治療可能な疾患です。感染力は非常に弱く、日本での新規患者数は年間0〜1人と大変稀な病気になりました。
次回号では、友の会総会で映画鑑賞した「新・あつい壁」にも触れ、ハンセン病への偏見の問題を取り上げたいと思います。ご感想をお待ちしております。
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●No.16 「おくりびと」編 〜2009年5月(224号)〜 |
皆さんこんにちは!さて、アカデミー外国語映画受賞の話題の映画『おくりびと』はご覧になりましたか。ご遺体を棺に納める「納棺師」を取り上げた作品ですが、実は私、「納棺師」という言葉を初めて聞きました。皆さんはご存知でしたか?
どのように死を迎え、どのように送られるのかは、とても大切な問題です。「納棺師」によって行われる儀式はその一つと考えますが、家族や友人たちとのお別れの時間をどう過ごすのか…今はいろんなパターンがあるそうです。お経ではなく故人の好きだった音楽を流したり、「お別れの会」として自由な形式で営んだり…。ただ、この不況でお葬式は大分簡素化しているとも聞きます。
家族友人たちに囲まれて送られる方は幸せです。昨年度は、ご自宅で亡くなっていた患者さんを経験いたしました。いわゆる「孤独死」でした。お一人は、かかりつけ病院に予約日に受診されなかったため診療所に連絡が入り、ご自宅に伺ったところリビングでなくなっていました。もう一人の方は、ちょうど年末年始のお休みだったので、発見するまで時間がかかり、ストーブがつけっぱなしで腐敗も進んでいたと聞きました。そのほか、病院で亡くなっても引き取り手がなく、行政が迎えにくるまで冷蔵庫に保管されていた方もいました。そして、家族がいても音信不通だったために一人で亡くなっていく方もいらっしゃいました。
今年の3月、私の祖父も息をひきとりました。お葬式までの間、祖父は自宅の和室に寝ていましたが、その枕もとには祖父の若いころの写真や思い出の品が置かれ、その横では幼いひ孫たちがはしゃいで遊んでいました。彼らの記憶には残らないかも知れませんが、「おじいちゃんはあなたたちの無邪気な声を聞きながら旅立っていったのよ。」と私たちが伝えていくことで、生命や生死について考えてくれるようになるでしょう。息子は2歳になりました。曾祖父の死に立ち会えたことが、彼にとって貴重な経験だったと言えるように、私が語っていかなくてはなりませんね。
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●No15 「うつ病」編 〜2009年4月(223号)〜 |
みなさん、こんにちは!春らしく暖かくなってきましたね。天気も移ろいやすく、体調が安定しない方が多いようです。また、春は進学・転勤など生活に大きな変化が起こる時期でもあります。新生活に心躍る反面、期待通りにことが運ばないと大きな挫折感を抱くことがあります。
年度末の派遣切りもあり、この春心配な病気は「うつ病」です。患者さんの全体の約1割にうつ病の傾向があるとも言われますが、実際に初診時に「うつ病」と診断が付く人は多くはありません。それは、「うつ病」の患者さんは、様々な身体症状を訴えて一版科(精神科以外)に受診することが多いためです。
睡眠障害、疲労・倦怠感、食欲不振、便秘・下痢、心悸亢進などは内科へ、
月経異常は産婦人科へ、
めまい、耳鳴りは耳鼻科へ、
頭痛は脳神経外科へ・・・といった具合です。
特に「うつ病」が無視されて診断されやすい病名としては、
「自律神経失調症」「更年期障害」「慢性胃炎」「めまい症」「神経症」「頚骨腕症候群」などが挙げられます。
この様な病名がついたときは、今一度十分な問診をうけていただいて、自分でも気付いていない抑うつ気分や興味の喪失などの神経症状を見つけてもらうことが大事です。簡単な問診票も用意してありますので、気になる方はチェックしてみてください。
軽度のうつ病であれば、一般内科でも薬物治療が行われています。しかし、重症のうつ病、特に自殺念慮のある場合は専門の精神科を受診するようにしましょう。一人で悩みを抱え込まないことが大事ですね。
また、重症でない場合でも、「産後うつ病」(子どもへの影響も大きいため)や、躁状態が出現した場(多弁、多動など活動性が高まる場合は、「躁うつ病」が考えられます)、幻聴などの異常体験のある人、見当意識障害があり認知症との鑑別が必要な場合は、やはり専門の精神科受診が望まれます。
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●No14 「リストラ」編 〜2009年3月(222号)〜 |
みなさん こんにちは!いよいよ3月です。2008年度の締めくくりですね。大不況に陥ってしまい、来年度もますます厳しい状況が続きますね…。
このような大企業のリストラが押し寄せた10年ほど前のことでした。私の父の勤務する会社がリストラを打ち出して、退職希望者を募り始めたのです。やめるか、もしくは遠方への転勤か…。悩んだ末に一旦解雇されて、給料3割減の子会社に移ったのでした。その後もさらに孫会社へと移り、昨年定年退職を迎えるまでに幾度も社名が変わっていきました。不安や不満などは一切言わなかった父でしたが、私もまだ学生だったため、学費や生活費のことなど負担は大きかったと思います。当時は様々な企業が合理化を行い、親戚の多くがリストラの被害にあいました。
一生懸命働いているのに何故こんな目に合わなければならないのだろうと憤りを覚え、社会や政治に対して関心を持つようになったのもこの頃でした。医学生のアルバイトといえば、家庭教師が人気ですが、私は夏休みの短期間浜松市内のオートバイの部品工場に勤めてみることにしました。バネを部品にはめ込んでいく単純作業ですが、立ちっぱなしで大変疲れました。工場内には日系ブラジル人の方や、フィリピンから来た研修生も働いていましたが、住宅保証があるとはいえ、時給が日本人よりはるかに低額だったことに驚きました。ああ、こうやってコスト削減して製品が安くなっていくんだ…と実感を持って理解できましたが、同じ労働をしても同等の評価を与えない企業や会社に対してやはり憤りを感じました。(もう一つ驚いたことは、フィリピンの方が「神風」とプリントされたTシャツを着ていたことですね…。)当時は受注も多く毎日残業していましたが、今、彼らは一体どうなっていることでしょう?
昨年から派遣切りが横行し、住宅を失う方も多くいらっしゃいます。様々な団体が関わって、路上生活の方たちなどの生活相談会を開始しています。こんな御時世だからこそ、助け合いの精神でお互いに声を掛け合っていきましょう。
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●No13 「花粉症」編 〜2009年2月(220号)〜 |
みなさん こんにちは!ようこそDrミナの診察室へ!医学・医療の問題をはじめ、趣味・育児・政治などざっくばらんにお話するコーナーです。
今回は花粉症について取り上げます。そろそろスギ花粉の飛び交う時期ですね。日本気象協会の予測によると、東海地方は7月高温少雨だったため、例年よりも飛散量はやや多く、昨年平成20年春よりは非常に多いだろうとのこと。みなさんはスギ花粉症は大丈夫ですか?
まずは予防が大事です。マスク、メガネはもちろん、つばの広い帽子、すべすべした素材のマフラー・コート、それから女性は厚化粧を避けてください。べたべたした肌には花粉が付着しやすいです。家に帰ったら、衣類についた花粉をしっかり払い落として、手洗い・洗顔。すぐに入浴してしまうのも効果的です。付着した花粉を洗い流せますし、身体が温まり血行が良くなると鼻づまりの症状が緩和されます。リラックスすることも非常に大事です。
症状が強い場合は、様々な治療法があります。当院では、薬物治療(内服薬・外用薬)および減感作療法(注射)などを行っております。改善が認められず、耳鼻咽喉科で手術を選択する患者さんもいます(他院へ紹介となります)。各治療法については、患者さんによって適応が異なりますので、医師の診察を受けて相談しましょう。
それから、花粉症=スギのイメージが強いですが、実際は様々な花粉によるアレルギーが報告されています。スギに少し遅れてヒノキ、夏には、イネ花粉、秋にはブタクサなどがよく知られています。血液検査では、どのアレルゲン(花粉)に対して抗体が作られているのか調べることができますので、検査したことがない方は、是非ご相談下さい。また、花粉症=アレルギー性鼻炎なのですが、そのほかの鼻炎も数多く存在します。一般的治療でなかなか改善しない場合は、耳鼻咽喉科専門の医院できちんと検査を受けてみましょう。
では、今年も頑張って連載しますので、どうぞお付き合い下さいね。
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●No12 「年の瀬のご挨拶」編 〜2008年12月(219号)〜 |
みなさん、こんにちは!
2008年もいよいよ締めくくりの時を迎えます。この1年はいかがでしたか?我が家では息子も順調に大きくなり、パパ似のメタボ体型に!?今後が心配です。
経済界も金融破綻で波乱の年末になりました。今や頼れるのは己の健康のみ?ですよ、皆さん。身体が資本です。健康診断はきちんと受けましたか?がん検診・婦人科検診をもらさないようにして下さいね。
この金融破綻。当診療所で健康診断を予定していた派遣会社の社員たち90人が全員リストラされて、健診が突然キャンセルになりました。某有名自動車会社企業からのリストラでした。若い人たちも大勢いたようです。他の派遣先が見つからなければ今後どうするのでしょう・・・。安定した雇用形態が望まれますが、大企業の利益を優先している政策の中では、労働者はまるでモノ扱いです。医療・介護の現場でも診療報酬の引き下げによって様々な弊害が生まれています。介護の職場では、やりがいを持って働きたくても低い賃金のため閉鎖する施設もあり、介護を必要とする人たちの行き場がなくなってきています。
一方で政府は「給付金」騒ぎです。労働者の苦悩を分かっていない人達ですから、無理もない話かもしれません。それだけお金があるのなら、なんで社会保障費を削減して消費税を増やす必要があるのでしょうかね?
次の選挙には、自分の意志を一票に込めて必ず選挙に行きます。一人一人を大事にする社会に変えていきたいですね。
ところで、この連載は来年も続くようです。次号はお休みですが、またお会いしましょう。今年も大変お世話になりました。よいお年をお迎え下さいね。
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●No11 「インフルエンザ」編 〜2008年11月(218号)〜 |
みなさん、こんにちは!今年もあと2か月に迫りました。朝晩はぐっと冷え込むようになってきましたね。風邪などひいていませんか?診療所はインフルエンザの予防接種で混雑する時期になります。ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。
さて、みなさんは毎年予防接種を受けていますか?私は大学生の頃にインフルエンザにかかったことがありますが、40度を超える高熱にはさすがにまいりました。就職してからは毎年予防接種をうったにも関わらず、インフルエンザにうつってしまう人も確かにいます。予防効果は完璧ではありません。それでも、熱が出ている期間を短くしたり、肺炎などの合併症を防ぐことができると言われています。特に、65歳以上の方や、もともと持病がある人、中後期の妊婦さんは、インフルエンザにかかって肺炎になると命の危険もありますので、予防接種を推奨されています(日本呼吸器学会)。
ところで、「インフルエンザ・パンデミック」という言葉を聞いたことがありますか?これは新型インフルエンザが世界的に大流行することを指します。1918年のスペイン風では、全世界で死者が4000〜5000万人の死者が出たと言われていますが、今後も同じようなパンデミックが起こる可能性があります。現在通常に使用されているインフルエンザワクチンは、この新型インフルエンザには対応していません。新型インフルエンザが発生して、初めてそのウイルスに対するワクチンが製造できるからです。しかし、トリからヒトにうつったとされる事例から、鳥インフルエンザウイルスに対するワクチンは開発されていて、新型インフルエンザに対するワクチンを開発できるまでのつなぎに用いられるようです。本当にこんな怖い大流行が起こるのかどうかは、実のところ誰もわからないそうです。とりあえずは、ヒトヒト間で起きる通常のインフルエンザの流行を抑え、さらには鳥インフルエンザウイルスの流行を抑えることで少しは防御できるのでしょうか。みなさんもワクチンを打ちましょう。
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●No10 「戦争と医師(下)」編 〜2008年10月(217号)〜 |
前回に引き続き、戦争と医師の関係や医学医療の歩みについてお話します。
第2次世界大戦ではナチスドイツがユダヤ人捕虜たちに行っていた非人道的な人体実験が問題になりました。これを受けて1947年にドイツで行われた国際軍事裁判で、医学研究対象となる患者の人権に触れた「ニュールンベルグ倫理綱領」が採択されました。この綱領は今日まで医療倫理の基礎として重んじられ、「ジュネーブ宣言」「インフォームドコンセント」など患者の権利を守る考え方へと発展していきます。
それから、第2次世界大戦では核兵器が使用されたことも大きな衝撃でした。終戦後も各地で水爆実験が行われたため、イギリスの倫理学者ラッセル卿と科学者アインシュタインの呼びかけで世界の科学者たちが「パグウォッシュ会議」を開き、核兵器廃絶への取り組みが始まったことが有名です。その後1980年冷戦の最中には、医師たちも同様にIPPMW(核戦争防止国際医師会議)という組織を作りました。日本からも多くの医師たちがこの会議に参加していますが、1987年には国内に「 反核医師の会」を立ち上げて、毎年「核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどい」を開催しています。私はまだ1回しか参加したことがありませんが、全国各地から大勢の医師たちが集い、会場は熱気に包まれていました。
静岡民医連でも様々な活動を行ってきました。聞間医師はアメリカによるビキニ水爆実験が行われたマーシャル諸島へ、斉藤医師はイギリスのクリスマス島水爆実験のフィジーに訪問しています。また、旧ソ連による水爆実験が行われたセミパラチンスクへも代表を派遣しています。私自身もマーシャル諸島での健康調査に関わらせていただいたことがありましたが、世界中に多くのヒバクシャがいることについては、民医連に就職してから初めて知りました。これほどまでに核被害が広がっている現実に気づかなかったことに対して「驚異」と「脅威」を感じました。人権のアンテナを高く張って、戦争と生命の安全、医療と患者の権利について日々学んで成長していきたいと思っています。
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●No9 「戦争と医師(上)」編 〜2008年9月(216号)〜 |
おかげさまで連載も9回目を迎えました。最近は「先生、次は○○について書いてね」と要望をいただくまでになりました。ありがとうございます。
さて、戦後63年が経ちました。私の場合は、祖父がそれぞれ召集されましたが無事に生き延びて、その後両親が生まれました。そう、両親とも"戦争を知らない子どもたち"です。祖父は戦争のことをあまり語ってくれなかったので、学校の授業や図書館の本 から戦争のことを学びました。『ガラスのうさぎ』『はだしのゲン』が印象深いです。特に小学校の時に読んだ夏休みの課題図書『娘よ、ここが長崎です』という本に強く心打たれました。それは、『この子を残して』や『長崎の鐘』の著者・永井隆博士の娘・筒井茅乃さんが書いた本でした。
長崎医科大学で放射線医学を専攻していた永井博士は、当時結核患者が多く、フィルム不足のため直接透視で検査していたことから過度の放射線を浴び、白血病に侵されていました。あと3年の命と宣告された数ヶ月後に、あの原子爆弾が落ちたのです。自身も被爆して傷を負いながらも救護活動を行い、その後病床に伏しても、原子爆弾の恐ろしさと平和の大切さを伝えるため意欲的に作品を書き上げるのでした。作品に感動したヘレン・ケラー(かの有名な"三重苦の聖女")も永井博士を訪問したといいます。「素晴らしいお医者さんがいたのだ!」と感動したことを覚えています。
医師となり、被爆者の方たちにお会いする機会も増えました。私が民医連に就職するときに講演をしてくださったOさんは、その後主治医として関わらせていただきました。残念ながらお亡くなりになってしまいましたが、現在も原爆症認定をめぐって裁判中です。被爆体験のお話を聞くたびに、平和憲法や非核三原則を守りぬいて次の世代にバトンを渡していくことが、今の私たちの使命だと感じます。
今年の8月9日長崎で行われた追悼式典をテレビで見ていましたが、その中継の中で筒井茅乃さんもお亡くなりになったことを知りました。
今年は永井博士の誕生100年でもあり、改めて平和への願いを強く心に刻むのでした。(次号へ続く)
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●No8 「メタボ」編 〜2008年8月(215号)〜 |
暑くなってきましたね!年々暑さが厳しくなってきているように感じますが、夏バテしないように気をつけましょう。水分補給をこまめに…でもスポーツ飲料には糖分も多いので気をつけましょうね。
さて、ようやく特定健診が始まりました。「メタボ健診」とも呼ばれていますが、これに関連して、「メタボリックシンドローム(症候群)」についてお話しようと思います。
そもそも「メタボリックシンドローム」が騒がれるようになったのはどうしてでしょう?
その歴史はつい最近、1980年代から提唱され始めました。高血圧や糖尿病、脂質代謝異常、肥満はそれぞれ動脈硬化を引き起こして心筋梗塞などの危険因子になるということは分かっていましたが、お互いに合併しやすく、また合併している場合は心血管疾患のリスクがより高いことが分かってきました。生活習慣が大きく変化してこのような病態の患者さんが多くなってきたことから世界的にも注目されていましたが、いくつかの変遷をとげて、今日の「メタボリックシンドローム」と呼ばれるに至ったのです。
日本の診断基準は
腹囲…男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪量は男女ともに100cm 2以上)に加えて、以下のうち2項目に当てはまることです。
1)高血圧
…上の血圧が130mmHg以上かつ/または下の血圧が85mmHg以上
2)空腹時血糖が高血糖…100mg/dl以上
3)高トリグリセライド(中性脂肪)血症
…150mg/dl以上かつ/または低HDL-C血症…40mg/dl未満
ただし、まだまだ議論の余地があり、今後も診断基準が変わっていく可能性があると思われます。今後の医学ニュースに注目して下さい。一方でやせすぎもこれまた問題があり、肥満と同様に死亡率が高いというほうこくがあります。何事も“ほどほど”がよろしいようですね。
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●No7 「医師不足(下)」編 〜2008年7月(214号)〜 |
女性医師の労働環境を改善することも、医師不足問題解決の鍵を握っています。私の場合は、1歳5カ月の息子を診療所近くの私立保育園に預けています。夫(勤務医)も多忙ですし、両親は近くにいませんし、保育園は24時間対応ではないので、夜間診や電話当番は免除させていただいています。
困るのは病気の時です。保育園に通い始めてから頻繁に熱を出していますが、病児は預かっていただけないので、私が仕事をお休みして面倒をみなければなりません。その度に所長先生や皆様にご迷惑をおかけしています…。子どもの調子が少し良くなれば、診療所の休憩室を借りて友の会の事務局さんに子どもをみていただいています。週末は実家の両親が応援に来てくれることもあります。周りの人たちに支えていただかなければ、職場復帰は難しかったことでしょう。ご理解いただいて本当に感謝しています。
「だんなさんは協力してくれないの?」…勤務医不足のため、残された医師たちの負担は増すばかりです。実は去年の今頃、夫は持病の喘息発作が重症化して緊急入院しましたが、集中治療室で点滴受けて酸素マスクしてゼーゼー言いながらもベットの上で仕事(治療の支持やカルテ書き)をしていました。担当入院患者数は常に20人を超え、外来・救急・手術・検査などの仕事もこなしながら「あれ、今日は○○さんの顔を見にいっていないな」と病棟に足を運ぶと、すでに就寝時間を過ぎているのもよくある話です。人の生命を預かる仕事ですから、勤務時間中は相当のストレスがかかっています。さらに早朝・深夜の呼び出しが連日続いた結果、とうとう倒れてしまったのでした。医療現場は、医師一人ひとりの頑張りだけでは支えきれない状態に陥ってきているのです。
民医連では、友の会の人たちとともに医師の卵を応援してきました。私も、皆さんとのつながりがあるからこそ、やりがいを感じて民医連に就職しましたし、お役に立ちたいと思っています。医師不足が進む公的病院でも、多くの医師が根付いてくれるような地域住民の取り組みが重要だと感じています。そして、国に対して「もっと医師・看護師を増やして!」と声をあげていきましょう。
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●No6 「医師不足(上)」編 〜2008年6月(213号)〜 |
皆さん、こんにちは! 5月11日に浜名高校で行われた母親大会・分科会で聞間先生(生協きたはま診療所Dr)が助言されていましたが、地域病院の医師がどんどん減っていて問題になっています。掛川・袋井の病院合併問題もニュースになっていますね。
ではなぜ医師が少なくなっているのか。これはもともと政府が医療費削減政策として医師数を減らしてきたことにあります。患者を診る医師が減れば、医療費も減る。単純な考えです。地域の病院は自力で医師を養成せずに、大学病院からの派遣に依存してきました。
2004年に2年間の卒後研修必修化が導入されたところ、大学病院に研修医が集まらなくなり、地方病院へ医師を派遣できなくなってしまったため、医師不足問題が顕在化しました。それに加え、女性医師が多くなっています。
産婦人科では20代医師のなんと7割が女性だそうですが、出産・子育てで職場を離れざるを得ない人が多く、これも勤務医不足の要因と言われます。勤務を継続する女性医師は、当直や時間外の呼び出しにも対応しなければならないので、両親に頼ったり家政婦を雇ったりしています。24時間保育施設がある病院はごくわずかです。私が研修していた病院でバリバリ働いていた女医さんは、だんなさんが専業主夫をしていましたよ。(次号に続く)
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●No5 「禁煙外来」編 〜2008年5月(212号)〜 |
皆さん、こんにちは! この診察室は、医学医療はもちろん育児・趣味・生活・政治までなんでもありの診察室です。ということで、4月号で育児のことを書かせていただいたところ、多くの方々から感想を寄せていただきました。ありがとうございました!
さて、今回は「禁煙外来」の宣伝です。いよいよ佐藤町診療所でも禁煙外来を行うことになりました。「タバコが身体に悪いことは分かっているけどなかなかやめられない」「やめようとしても、逆にストレスがたまって挫折する」という方が多いのではないでしょうか?それは、単に「意志が弱いからやめられない」わけではなく、「ニコチン依存症」という病気にかかっているからなのです。周りの方たちも、「タバコをやめなさい!」と怒っているだけでは、何の解決にもならないことをぜひ知ってください。
禁煙をすると、「ニコチン離脱症状」が起こります。身体の中のニコチンがなくなって「イライラする、集中しにくい、頭痛がする」などの症状が出現します。それがつらくて、またタバコを吸い始めてしまうわけです。この症状を楽にするのが「ニコチンパッチ」や「ニコチンガム」です。少量ずつ身体にニコチンを取り入れることで離脱症状を和らげ、禁煙を成功させる、というわけなのです。禁煙すると、咳や痰が少なくなったり、朝すっきりと目覚められるようになったり、身体の調子が良くなります。
日本は諸外国に比べてタバコに寛容すぎるようです。諸外国ではタバコCMの制限は当たり前ですし、EUやブラジルなどではタバコのパッケージに未熟児や胎児の写真が印刷されて、妊婦の喫煙防止を行っています。喫煙している本人の健康被害はもちろんですが、未来の将来を担う子どもたちへの悪影響も大きいのです。最近の「キレやすい」子どもたちの一要因ではないかとも指摘されています。医師としても、母親の立場からも、禁煙する人たちを応援していきたいと思っていますので、ぜひ気軽にご相談に来てくださいね!
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●No4 「子育て奮闘記」編 〜2008年4月(211号)〜 |
皆さんこんにちは!さて、今回は私の子育て奮闘記です。息子はようやく1歳2ヶ月になりました。よちよちとまだ不安定なのに、得意気な顔をして二足歩行を始めています。つい先日は今シーズン二度目の嘔吐下痢症になりお休みをいただきました。病気にかかってばかりで、皆さんにも大変ご迷惑ご心配おかけしています。
さて、最近は寝付かせるのに苦労しています。遅くとも夜9時までには眠って欲しいのですが、なかなか布団の中でじっとしていてくれません。結局添い寝をしながら自分も眠ってしまうことが多くなったので、朝3〜4時に起きるようにしました。メールチェックなど行って、お洗濯をしつつ朝風呂につかります。が、物音で息子が起きてしまうと、あとが大変!ふたたび寝かしつけが始まり、またまた自分も眠ってしまい、結局何にも出来なかったということが何度もあります・・・。
朝は食事を食べさせるのが大変です。手づかみでむしゃむしゃ食べるので、テーブルの上も下もばらばらとごはんつぶがこぼれます。一通り食べ終わってミルクを加えても、食べ足りないのかよく泣きます・・・誰に似たのでしょうねえ?バナナを半分あげると満足してくれます。排便して服を汚すこともあるので、食事後お風呂に直行することも多いです。そんなことをしているとあっという間に出発の時間に。
保育園から帰宅後はすぐに夕食の支度です。ぐずってしまう時はおんぶしながら家事をしていたこともありましたが、体重が重くなって身体にこたえるようになったのでやめました。最近は歌のCDを聞かせています。お気に入りは「むすんでひらいて」で、身体を揺らして手を叩いています。夕食のあとには、絵本を読んであげますが、何度も読め読めと迫られ、のどがからから。参ってしまいます。お気に入りは「ノンタンはっくしょん!」です。ノンタンが風邪をひいて受診するお話ですが、「おむねをもしもしもし・・・」の時に、息子は電話の「もしもし」と思ったのか受話器を耳に当てる真似をします。夫がいればお風呂にいれてもらって、ねんねの時間になります。こんな日々を簡単なブログにしています。静岡民医連HPの研修医日記の中に紹介しているのでこちらもよろしくお願いします。
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●No3 「薬害肝炎」編 〜2008年3月(210号)〜 |
皆さんこんにちは!さて、今年1月11日に薬害肝炎被害者救済特別措置法がようやく成立しましたね。ご存知のように、1994年以前に出産や手術などで血液製剤の投与を受けた患者さんたちがC型肝炎ウイルスに感染して、16名の方が2002年に国と製薬会社に対して訴訟を起こしました。今では原告は200名を超えているそうです。
問題となっている血液製剤については、以前にも薬害エイズを引き起こした旧株式会社ミドリ十字(2007年10月〜田辺三菱製薬)が製造・販売したものです。ミドリ十字は、関東軍731部隊の関係者が創立メンバーや役員に加わっていたことで知られています。C型肝炎ウイルス(それまでは非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていました)が発見されたのは1989年のことですが、ヒトの血液には未知のウイルスが存在し、ウイルスの感染力をなくしてしまう処理が血液製剤に必要であることは以前から分かっていました。しかし、その処理が導入されたのは1994年のことでした。アメリカでは1977年にフィブリノゲン製剤の製造承認を取り消しています。日本での対応は遅れに遅れ、1988年にようやく警告を発しましたが、それでもなお汚染された血液製剤の販売を継続していたのです。薬害を繰り返す製薬会社の体質に対して改めて大きな憤りを抱かざるを得ません。
肝炎と血液製剤の因果関係が証明されれば、給付金を受けることができます。救済される患者さんは1000人程度と推定されているようですが、製薬会社の報告では感染者は少なくとも1万人以上いるようです。1994年以前に大きな手術あるいは出産をされた方は、汚染された血液製剤を投与されている恐れもありますので、一度肝炎ウイルス検査を受けて下さい。また、 薬害肝炎訴訟全国弁護団がホームページを開設しているのでご参照ください。
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●No2 「インフルエンザ」編 〜2008年2月(209号)〜 |
皆さんこんにちは!とうとうインフルエンザの季節ですね。予防接種はお済みですか?今年度は早くから流行しているので、既に罹患した方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在ヒトに感染するインフルエンザには「A香港型(H3N2)」・「Aソ連型(H1N1)」・「B型」とありますが、ワクチンはこれら3種類に対応しています。流行株を予測して開発するのですが、抗原性が連続性に変化していくため、ワクチンの有効性は年によって異なることがあります。それでもやはり予防効果が認められているため、特に高齢者や基礎疾患(心臓病など)のある方たちにはワクチン接種が強く勧められています。
インフルエンザのお薬:オセルタミビル(商品名:タミフル)については、副作用が問題視されていますね。タミフル服用と異常行動の因果関係を明らかにする研究は現在、厚生労働省の研究班によって進められていて、約1万人のインフルエンザ患者を対象とした調査の解析によって、3月末には一定の結論が得られる見込みだそうです。佐藤町診療所では、原則としてタミフルは処方しないことにし、基礎疾患や合併症などによりタミフルが必要と医師が判断した場合、または副作用の危険性もご理解の上で患者様が強く希望された場合などに同意書をいただいて処方することにしました。
ザナミビル(商品名:リレンザ)についても今後同様の副作用が報告される恐れがあるため積極的に処方していません。また、吸入薬のため服用しにくい欠点もあります。一方で、漢方薬の麻黄湯がインフルエンザ感染症の有熱時間を短縮するとの報告があり注目されています。そのほかインフルエンザに関して心配な点がありましたら、受診の際にお尋ねくださいね。
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●No1 「自己紹介」編 〜2008年1月(208号)〜 |
新年明けましておめでとうございます! 皆さん、おいしいごちそうを食べ過ぎていませんか?最近話題のメタボリック症候群にならないように気を引き締めていきましょうね。
さて、佐藤町診療所に来て2年が過ぎようとしていますが、改めて自己紹介させていただきます。浜松医大を卒業後、三島共立病院で初期研修(総合内科)、その後沼津市立病院でローテート研修(呼吸器・循環器・消化器・神経内科・皮膚科・救急部)の後、夫の転勤の関係で浜松に戻ってきました。昨年1月に長男を出産したためしばらくお休みをいただいていましたが、10月より仕事に復帰しました。
よく皆さんから「専門は何ですか?」と問われますが、「〜科」というものではなく「プライマリケア」あるいは「家庭医」を目指しております。日本ではあまり馴染みのない分野ですが、患者さんの病気だけではなくその背景(家庭、職業、環境)なども含めて係わっていく"専門家"なのです。研修施設はまだまだ少なく、静岡県内で専門医資格をとれるところはほとんどないのが現状です。現在、3年目の先生が名古屋で家庭医プログラム研修を行っているところです。彼女が帰任するまでしばらくお待ちいただければと思います。
私は自分の子どもで小児科研修中です(笑)。保育園に通い始めてというもの、毎週のように熱を出し、12月半ばには嘔吐下痢症ももらってきてしまいました。対処法が分かっているとはいえ、実のわが子のこととなると心配なものですね…。他に預けるところもなく、しばらくは急なお休みをいただくことが多くて皆さんには大変ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
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